薬剤で細菌を取り除く「歯周内科治療」
歯周病の治療では、歯の表面に付着した歯垢や歯石を機械的に除去することで、その症状を改善していきます。専門的には「歯周基本治療」と呼ばれるもので、歯周病菌が繁殖する場所を取り除くことが主な目的です。一方、最近では「歯周内科」という治療法も徐々に広まりつつあります。
診療
歯周内科ってなに?
歯周内科とは、文字通り「内科的」なアプローチで歯周病を治していく方法です。従来の歯周病のように、スケーラーで歯石をガリガリと削ったり、歯茎をメスで切開したりするような「外科的」な治療とは大きく異なります。
薬剤で歯周病菌を取り除く
歯周内科の最も大きな特徴は「薬剤による除菌」を行うという点です。例えば、風邪をひいた時には解熱剤や鎮痛剤などを飲みますよね。それと同じように、お薬を内服することによって症状を改善させるのが歯周内科の治療方法です。
ただし、風は「熱を下げる」「痛みを抑える」といった対症療法でしかありませんが、歯周内科では根本的な原因となっている細菌を取り除くことができます。いわゆる抗菌薬による原因療法が可能なのが歯周内科治療なのです。
位相差顕微鏡で細菌を観察
歯周病を患っている方のお口には、それぞれ異なる細菌や真菌が感染しています。それらを特定する上で非常に大きな力を発揮するのが「位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)」です。この顕微鏡を用いれば、感染を引き起こしている細菌の種類をしっかり把握することができるため、抗菌薬による原因療法も可能となるのです。
歯周ポケットの除菌
歯周内科では、歯周ポケット内に直接、薬剤を作用させて除菌を行うこともあります。歯と歯茎の間の溝である歯周ポケットは、酸素が少なく、栄養源となるたんぱく質も豊富であることから、細菌繁殖の温床となりがちです。そこに薬剤を作用させることで、大きな除菌効果が期待されます。
まとめ
このように、歯周内科というのは、従来の歯周病治療とは大きく異なるアプローチで歯周病の症状を改善させるものです。もちろん、歯周内科が万能であるわけではありませんが、従来法と組み合わせることで、治療効果が向上することは間違いないといえます。